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美味しい話 ~鰻(うなぎ)~

うなぎ屋さんの店先にたちこめる何とも言えないいい匂い・・・。
うなぎの蒲焼きは、昔から日本人の人気食のひとつです。
その歴史においては、江戸もまた重要な舞台となりました。
うなぎと日本人の深い関係、その一端をご紹介します。

蒲焼きは元禄時代から。受け継がれる「焼き一生」の心意気

夏のスタミナ食といえば、うなぎ。うなぎの蒲焼きは江戸を代表する食べ物のひとつです。

日本人のうなぎ食の歴史は実は古く、かの「万葉集」で大伴家持が「石麻呂(いわまろ)にわれもの申す夏痩せによしという物ぞむなぎ取り召せ」と歌っているほど。「むなぎ」(矣奈伎)とはうなぎのことで、当時から夏痩せによく効くスタミナ食であったことがわかります。事実、うなぎは栄養価が高く、ビタミンAが多く含まれています。ビタミンAは動物の肝臓に多く含まれている栄養素で、皮ふや粘膜を正常に保ったり、ガン予防にも効能があるといわれています。

さて、それでは、現代の私たちにもっとも馴染み深いうなぎの蒲焼きが生まれたのはいつなのでしょう。蒲焼きの始まりは元禄時代(1688~1704)の初め頃といわれ、うな丼を始めて売り出したのは日本橋葺屋町の「大野屋」という店だといわれています。そして、土用の丑の日にうなぎを食べるようになったのは、今で言うコピーライターとしても活躍した発明家の平賀源内(1726~1799)が、「本日土用の丑の日」というビラをうなぎ屋の店先に張り出し、それが当たったという説がよく知られています。(今年の土用の丑の日は7月30日です。)

「串打ち三年、裂き八年、焼き一生」というのは、うなぎを調理するうえでよく語られる言葉です。日本橋で代々のれんを掲げるうなぎ専門店さんも、「焼きがいちばん難しい」といいます。炭火で均等に焼き上げるのが、職人の腕の見せどころなのだとか。技術はもちろんのこと、素材の良さも重要なポイント。質のいい「本物」のうなぎを仕入れることをいつも心がけているそうです。

お重のふたを開けた時の、えもいわれぬ香り。うなぎは昔から、“口福”をもたらす料理として日本人に愛されてきました。うなぎに注がれる私たちの「愛」は、未来永劫、変わらずに続いていくことでしょう。

 

※取材・写真協力 うなぎ割烹 大江戸

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